社会科学はインチキか?~問いの立て方と工学~
こんなツイートがバズっていた。
本当の科学
— irr (@IrrTenko) 2018年1月2日
「私の仮説は現実世界と一致しないので、私の仮説には修正が必要です」
社会科学
「私の仮説は現実世界と一致しないので、現実世界には修正が必要です」 pic.twitter.com/PKRMMjJ3fe
こういった揶揄は社会科学批判としてよく挙がるものであり、リプライ欄でもこのツイートに同意し、社会科学はインチキだ、経済学者はインチキだというツイートが見受けられた。
まあ気持ちは分かる。TVをはじめとした各種メディアに出てくる経済学者、社会学者がよく分からない単語を羅列したり、常識はずれな事を言ったり、目にあまる言動をしているのを見かけると、学者というものに胡散臭さを感じてしまうだろう。それに加え、例えば政府の打つ経済政策は経済学者の意見を取り入れてるはずだろうに、一向に経済が良くなる兆しが見えない。こういった実感を元に判断すると、どうもケーザイガクなるもの、ひいては社会科学というものは信用ならんとなってしまう。文系学部廃止論もこういった不信感が背景にあるのだろう。
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無条件で現金配布、あなたは働きますか? 第4回~BI導入に向けての論点~
無条件で現金配布、あなたは働きますか? 第3回~シンプルな支援、シンプルな政府~
- シンプルな政策にすべき単純な理由
- 思い込みに反するデータを受け入れる
- 思い込みを捨てよ、データを見よう
- 今必要な政府とは、大きなバスケットではない
2回に渡ってベーシックインカムを軸とした社会保障について述べてきた。前回のはこちら。
シンプルな政策にすべき単純な理由
前回述べたことをまとめると、「貧困とは単なる人格の欠損ではなく、お金の欠乏だ。複雑な支援プログラムではなくシンプルな社会保障を」ということだ。現実社会、人間心理は複雑だ。しかしだからといって複雑なプログラムが必要なわけではなく、シンプルな政策でも、具体的な案にする際に厳密な検証を必要とするというだけの話である。
シンプルな社会保障対策は、まずその受益者にメリットをもたらす。前回述べたが、貧困層にとって、社会保障を受けようと行動することはかなり大変である。
続きを読む無条件で現金配布、あなたは働きますか? 第2回~救われるべき人、そうでない人?~
- 「無条件で給付」がカギ?
- 社会保障と「理想の貧困者」
- 貧困は知能を13ポイントも下げる
- シンプルな設計、厳密な検証
前回は、ベーシックインカム(BI)のメリットやそれが解決するであろう問題について全体像を述べてきた。まだ読んでいない方はどうぞ。
今回は、BIの「現金の無条件配布」という特徴を切り口に、福祉のあり方について述べていく。
「無条件で給付」がカギ?
前回、BIを実際に行ってみた結果について、似たような制度が真逆の結果をもたらしたことに言及した。ロンドンやオランダの実験ではBIによって人は怠惰にならず、むしろ前向きになり、ホームレスが社会的に望ましい生活を送るようになったと示している一方で、BIと似たスピーナムランド制度は人の勤労意欲を削ぎ、社会が荒れるという真逆の結果に終わったのである。
続きを読む無条件で現金配布、あなたは働きますか? 第1回~労働環境の変化とベーシックインカム~
政府機能を考える 第2回~政府機能と政治を変える方法~
前回の記事で、現行の政治システムの避けられない欠点を挙げ、それを乗り越えるには、政府規模を縮小すべきだと述べた。
今回は、じゃあそもそも政府はいかなる機能を持ち、そしてどうやってそれらを民間が肩代わりできるようになるかについて述べていく。
政府の4機能
経済学においての政府の存在意義とは、市場内の自由な行動だけでは解決できない問題を解消することだと考えられている。そして、その問題とは以下の(3+1)つに大別される。
続きを読むタバコの問題をシンプルに解決する~負の価値財、外部性と政治機能~
<目次>
- 「即禁止」は大抵良くない
- そもそも何が問題になの?
- 外部性対策の大まかな枠組み
- 対策は政府よりも民間で行うべき
- 具体的な政策提言
都議会がタバコに関する条例案があることを公表したことを受けて、タバコについての論議がまたもや盛りあがりそうだ。特に東京は2020年のオリンピックに向けて、急ピッチで規制が進められていくだろう。既に狭い喫煙者の肩身がより狭くなっていきそうだ。
消費されることが望ましくない財を、経済学用語で負の価値財という。昨今のタバコへの風当たりをみるとタバコは負の価値財であり、その他にも酒類や麻薬、ポルノ作品なんかもこれに入るだろう。
しかし、消費されることが望ましくないからといって即座に法律レベルで禁止すべきと断じてしまうのは気が早すぎる。
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