平凡学徒備忘録

Know your enemy with warm heart and cool head.

デザイン、アート教育について

最近、弟がデザインの短大に進学したこともあり、デザインやアートといったものに興味を抱くようになった。そんな中でデザインに関する本を読み、また先日東京ステーションギャラリーで「くまのもの」という建築展を見てきて(http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201803_kengo.html)「ああ、こういう視点で展示品を見て考えればよいのだな」と了解を得るようになってきた。と同時に、美術や技術の教育に問題意識を持つようになった。

美術や音楽、技術の授業は義務教育課程で誰でも受けることになる。課外学習などの名で映画鑑賞をしたり、美術館や博物館に連れていかれたりといった経験があるだろう。ただ、そういった授業を受けて、どれほどの人がデザインやアートといった話題を理解し、議論できるだろうか。「美術館とか博物館行っても別に楽しくない。何の感想も得られない。」と感じて終わってしまう人が大多数ではないだろうか。何を隠そう筆者もそうだった。

義務教育で美術の授業を履修しているにも関わらず、モノを見てもこういった状態になってしまう原因は、モノを見る視点や発想というものについて学校では教えられていないからではないかと思っている。

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不安商法は何故断りづらいのか

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  • 横浜のファミレスで聞いた営業トーク
  • 営業トークは何故断れないか
  •  高額セミナーが無駄なワケ

 

横浜のファミレスで聞いた営業トーク

これはPCを新しく買って、帰りにファミレスで一人、飯を食べていた時の話である。通された席の隣では女子高生数人がワイワイしており、その隣では一人の男が広げたノートパソコンの前に座っていた。灰色の服に黒のチノパンでマスクをし、なんだか大学生のような恰好であった。この男を仮にAと呼ぼう。

さて、腹も空いていたので気にせずリブロースステーキを頬張っていたが、ふと入口の方を見やると、サラリーマンと思われるワイシャツ姿の男が二人入ってきた。ここではBとCとそれぞれ呼ぶ。そして彼らは、その大学生風の男、Aの前に座った。

ワイシャツのうち一人が「初めまして、Bです。」と座っていた男、Aに言ったことから、AとBは初対面なのだろう。

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「正しさ」を遂行するコスト

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「倫理的に正しくありたい」「理想的な人生を送りたい」「倫理的に正しくあってほしい」...人はいつでもこういった願いを持っているだろう。だからこそ人は罪を犯した人を糾弾するし、一方で自分が非難されるとしばしば自己弁護や正当化を試みる。

しかし、倫理的な正しさというのは時代や社会状勢によって大きく異なる。よって常に「何が正しいのか」を巡って争いが起こる。かつてはそれが、例えば宗教戦争という形を取って発生した。しかし現代では、武力による解決は許されないという共通理念と情報技術の進歩により、それらは言葉による争いに変わった。SNSで度々起こる炎上とそれにまつわる様々な論争というのは、現代版「正しさを巡る争い」の現れだろう。

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勉強って何の役に立つの?~学問と科学教育批判~

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  • 大学入学以来の疑問
  • 科学的問いと工学的問い
  • 現在の教育の問題点
  • 教育に必要なもの
  •  結論、まとめ

 

大学入学以来の疑問

大学に入学して経済学の勉強を始めてからというもの、ずっと抱き続けてきた疑問がある。それは、「経済学って役に立つのか?」ということである。世間一般の経済学への評価といえば「経済学なんてただの机上の空論に過ぎない」「経済学者の言うことなぞアテにならん」「経済はまるで良くなってないじゃないか」「というか文系学部なんて要らないだろ」「当たり前のことを難しい言葉に言い換えるだけの学問だ」「経済学なんて知らなくても生きていけるし、実際ビジネスの現場では使わない」「経済学はお金儲けのための学問だ」「こんなのイデオロギーにまみれた紛い物だ、客観的に議論などできはしない」...などなど、どれも良いものではないようだ。

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社会科学はインチキか?~問いの立て方と工学~

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こんなツイートがバズっていた。

 こういった揶揄は社会科学批判としてよく挙がるものであり、リプライ欄でもこのツイートに同意し、社会科学はインチキだ、経済学者はインチキだというツイートが見受けられた。

まあ気持ちは分かる。TVをはじめとした各種メディアに出てくる経済学者、社会学者がよく分からない単語を羅列したり、常識はずれな事を言ったり、目にあまる言動をしているのを見かけると、学者というものに胡散臭さを感じてしまうだろう。それに加え、例えば政府の打つ経済政策は経済学者の意見を取り入れてるはずだろうに、一向に経済が良くなる兆しが見えない。こういった実感を元に判断すると、どうもケーザイガクなるもの、ひいては社会科学というものは信用ならんとなってしまう。文系学部廃止論もこういった不信感が背景にあるのだろう。

 

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無条件で現金配布、あなたは働きますか? 第4回~BI導入に向けての論点~

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  • BI導入で議論されるべき点
    • ①:制度の安定性
    • ②:現金支給?現物支給?
    • ③:どのくらい支給するの?
    • ④:人を生産的に保つには?

 

 3回に渡ってベーシックインカムについてそのメリット、デメリットだけでなく、社会福祉や政府のあり方などの視点から述べてきた。前回の記事をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ。

 

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BIはだんだん周知されてきてはいると思うし、今後たくさんの議論がなされるだろう。少なくとも、夢想であると議論にすらしないのは望ましくない。今回は、実際に導入にあたって議論されるべき点について整理していく。

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無条件で現金配布、あなたは働きますか? 第3回~シンプルな支援、シンプルな政府~

  • シンプルな政策にすべき単純な理由
  •  思い込みに反するデータを受け入れる
  •  思い込みを捨てよ、データを見よう
  •  今必要な政府とは、大きなバスケットではない

 

2回に渡ってベーシックインカムを軸とした社会保障について述べてきた。前回のはこちら。

 

usamax2103.hatenadiary.com

 

シンプルな政策にすべき単純な理由

前回述べたことをまとめると、「貧困とは単なる人格の欠損ではなく、お金の欠乏だ。複雑な支援プログラムではなくシンプルな社会保障」ということだ。現実社会、人間心理は複雑だ。しかしだからといって複雑なプログラムが必要なわけではなく、シンプルな政策でも、具体的な案にする際に厳密な検証を必要とするというだけの話である。

 

シンプルな社会保障対策は、まずその受益者にメリットをもたらす。前回述べたが、貧困層にとって、社会保障を受けようと行動することはかなり大変である。

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