平凡学徒備忘録

自分が思い付いたことを忘れないために書いていきます。経済学専攻の大学生。

何故障害者は吹っ掛けられるのか~構造的に問題を考える~

先日、自分の高校訪れる機会があった。そこで生徒に小論文指導している恩師にあったのだが、その際に彼が言っていた「問題は構造的に考えないとダメだ」という言葉がやけに印象深かった。というのも、「問題を発生させる構造を無視すると、すぐに〇〇を排除しろとか対症療法的な対応しかできず、問題が解決しないからだ」ということだ。

例えば差別といった問題はいささか個人に原因を求めがちである印象を受ける。「〇〇は差別主義者だ、だから首にしろ」とか「××はレイシストだ、解任しろ」とか。しかし実際には、差別にも感情的なものと経済的合理性に基づくものがあり、後者については個人攻撃だけでは問題が解消しない。

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何故経済学は役に立たないか~その発展分野と課題~

経済学は役に立たないといわれる。これは経済学に限らず文系学問全般がさらされる批判である。前に文学が何の役に立つのかについての阪大学長の考えが話題になった

headlines.yahoo.co.jp

この手の文系学問批判は長らく続いており、何回かこのブログでも取り上げてきた。

この「役に立たない」というのは「検証性が低い」「再現性が低い」「そのものは物質的には何ももたらさない」など色んな意味が含まれている。

逆に物理学、生物学などの自然科学はこれらの点を満たしてる。実験結果の計測はハッキリするし、実験を繰り返せるので再現性が担保されており、そして考察対象が物質的に存在しており、物質的に豊かさをもたらす。

さて、これらの意味で何故、経済学は役に立たないのか。

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No cash on the table~詐欺と先行者利益~

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No cash on the table(テーブルの上に現金はない)とは、経済学の主な主張のひとつであり、「テーブルの上に現金があるなら、誰かがそれをくすねるはずだ。だから手付かずの現金などあるはずはない」という意味である。

経済学のジョークにもこんなのがある。経済学者と一人の学生が道を歩いていた。そして学生がお札が道端に落ちているのに気がついたが、経済学者はそれを素通りした。

学生が「拾わないんですか?経済学では個人は自分の利益を最大化するんでしょう?」と尋ねると、経済学者はこう答えた。「本物のお札なんて落ちているはずがない。落ちていたら誰かがとっくに拾っているはずだ」

この経済学者の主張は半分正しく、半分間違っている。

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何故自販機とセブンでコーヒーの値段が違うのか?~価格競争と一律価格~

先日、品川駅で電車待ちをしていたときのことである。

その日は雨の影響で電車が遅延しており、フォームに着いてから少し時間があった。その間手持ち無沙汰で過ごすのも何となく気が引け、不意に缶ボトルコーヒーが飲みたくなったので、自販機に向かった。

その時気づいたのだが、自販機で売られているコーヒーの値段は、駅以外の場所で見かける自販機のよりも高く設定されている。理由は簡単だ。高く値段をつけても売れるからだ。電車待ちをしている間にコーヒーが飲みたくなった場合、外のほうが安いからとわざわざ一旦改札を出て買いにいく人はあまりいない。つまり、実際には地理的条件があるからこそ、強気な価格設定ができるということである。

レゴランドで食べ物、飲み物がかなり高く売られていたのも、外部から持ち込み禁止にしており、喉が渇いた場合、ランド内で買わざるを得ない状況にしていたからである。映画館でコーラが500円で売っているのも同じ理由である。外のコンビニの方が安いからと、チケット買ったあとに外で飲み物を買う人はあまりいない。

ただ、駅のコーヒーの価格が不思議なのは、全く同じ商品であるにも関わらず、構内に設けられた近くのセブンイレブンと価格が異なっているということにある。

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家の掃除は誰もやりたくない~公共財供給とゲーム理論~

 

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実家で家族と暮らす時、シェアハウスに住む時、決まって問題となるのが掃除や皿洗いといった家事分担の問題だ。掃除をやらないと住居は汚れていき、住んでいる皆が不効用を被る。しかし、できれば皆掃除をしたくない。まず面倒だし、それにやればやるほど良いというわけでもなく、キレイになったら終わりで、それ以上何か得られるわけでもない。多少気後れするものの、誰かが掃除してくれるなら、その人に任せたほうが自分は掃除をしないで済み、かつキレイな環境で過ごせる。だから皆そうしたい。

似たような問題を、経済学でも取り扱う。必ずしも家事であるとは限らず、ゴミ処理問題や、共有地の管理についてなど具体的なケースは様々だが、問題の構図は基本的に一緒である。「効用は得たいが、できるだけコストは払いたくない。そしてあわよくばそれが可能だ」。この状態が問題の構造である。

今回は、このような共有地の管理について、経済学的に数理モデル分析をし、解決策を考えていく。実際家事の問題は大真面目に議論するほどのものでもないかも知れないが、実際にはより大きな問題にも応用できるし、なにより経済学的なアプローチの全体像を示せると思う。

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経済学は何をしているのか?

大学で経済学をやってきて思うが、経済学は面白い。しかし残念なことに、経済学の授業は大抵つまらない。授業がつまらないから経済学はつまらないだろうと考え、なかなか興味が持てない。

人が初めて経済学に触れるのは中学の公民だろう。そして高校では現社や政経の授業で経済学を学ぶ。そして、大学に進んだら経済学入門とかの名前を冠した授業が開かれている。

で、そこで何を学ぶかというと、経済学の代名詞とも言える需要、供給曲線である。曲線とか言いながら先生は直線を引き、その交差点で商品価格と取引量が決まるのだという。

でもこんな図を見せられても、実感が湧かない。世の中がこんな単純だとは思えないし、そもそもこれが分かったからなんだというのだ。実に経済学はつまらなさそうだ。

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木材は無償で提供すべき?~公共投資と乗数効果~

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民間企業の展示ブースとしても活用されている東京ビッグサイトが借りられなくなることへの反対の声が上がったり、工事現場で働く新卒作業員が過労死したりと、実施に向けて不満の声が出てきている東京オリンピックであるが、今日はこの運営方針に不満が出ていた。

www3.nhk.or.jp

簡単に言えば、木材を無償で提供することを呼びかけているものであるが、これに対して、「ただでさえ林業はカツカツな産業なのに、タダで提供させたら林業は衰退する」と不満の声が上がった。

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